政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「それは構わないけど、危ないから、なるべく外出はしないほうがいい」

「はい 」

「肉団子、もう煮えていますよ。朱加里さん、マロニーばっかり食べてないで肉を召し上がってください」

「そうだね。朱加里はちょっと痩せすぎだと思うよ」

にこっと紳士的な顔で壱都さんは微笑んだ。

「別にこれで十分ですから!」

「どこが?抱き心地を考えたら、もう少し太らないと」

言ってることは全然、紳士的じゃなかった。
樫村さんは呆れた顔で壱都さんを見ていた。
機嫌のいい壱都さんを見て、なにか察しているみたいだったけれど、樫村さんは大人で聞き流してくれた。

「朱加里さん、鍋のしめは雑炊とうどんのどちらにしますか?」

「うどんを準備してあります」

そう言って、立ち上がった瞬間、スマホの着信音が流れた。

「誰?」

「私の就職が決まっている会社からです」

「ああ、そういえばそうだったか」

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