政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
間違ってはいないが、朱加里を脅かすなよと思っていた。
朱加里は自分が財産を失ったことより、俺が井垣グループの社長の座を追われたことのほうが重要で、ずっと気にしていた。
「井垣グループの社長の座が欲しくて朱加里と婚約したわけじゃないって言ったのにまだ不安?」
「信じていないわけじゃないんです。ただ壱都さんは社長になるまで頑張って来たでしょう?ただ井垣の社長になったわけじゃないってことは私はわかっているんです」
―――驚いた。
短い期間、それもバイトとして少し働いただけで朱加里は社内の空気や仕事の内容を把握していた。
「海外支店にいたのも井垣グループの社長になるためだったんですよね」
「……そうだ」
「その数年間の努力が無になったことが申し訳ないんです」
「完全になくなったわけじゃない」
「え?」
「いいから。とりあえず、今は白河家だよ?朱加里」
朱加里は自分が財産を失ったことより、俺が井垣グループの社長の座を追われたことのほうが重要で、ずっと気にしていた。
「井垣グループの社長の座が欲しくて朱加里と婚約したわけじゃないって言ったのにまだ不安?」
「信じていないわけじゃないんです。ただ壱都さんは社長になるまで頑張って来たでしょう?ただ井垣の社長になったわけじゃないってことは私はわかっているんです」
―――驚いた。
短い期間、それもバイトとして少し働いただけで朱加里は社内の空気や仕事の内容を把握していた。
「海外支店にいたのも井垣グループの社長になるためだったんですよね」
「……そうだ」
「その数年間の努力が無になったことが申し訳ないんです」
「完全になくなったわけじゃない」
「え?」
「いいから。とりあえず、今は白河家だよ?朱加里」