政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
店内で食事を楽しんでいる人達は全員がフォーマルな服装をしていた。

「いらっしゃいませ。白河様。井垣のお嬢様とご婚約されたそうで、誠におめでとうございます」

「ありがとう」

壱都さんはなれているのか、さらりとお礼を返す。
私は戸惑いつつ、ぺこりと会釈をした。
席に案内されると、食前酒が運ばれ、グラスにシャンパンが注がれた。

「壱都さん、ここのレストランによく来るんですか?」

「ここは白河家がよく利用するレストランなんだ。祖父が洋食派っていうのもあるけど、昔からの知り合いが多い」

「そうですか」

「なに?気後(きおく)れした?」

「ええ……」

「そうだろうと思ったけど、あえて連れてきたんだ。この先、白河家の集まりで何度も来ることになるだろうから」

それは私が壱都さんと結婚した時、ここにきても怖気づかないようにするため。

「今日は食事を楽しめばいいよ」

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