政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「旦那様は本当に冷たい方だよ。同じ娘なのにこんなに差をつけて」

「いいんです。生まれた時から一緒に暮らしていたわけじゃありませんから」

いきなり一緒に暮らして、『家族です』と言うのも無理がある。
きっと父もそう。
だから、異母妹である紗耶香(さやか)さんを(ひが)む気持ちもわいてこない。
他人の家に引き取られたと思えば、たいしたことはない。
朝食を食べ終え、お祖父さんの部屋に戻った。

「お祖父さん。入りますね」

襖戸を開けるとお祖父さんは驚いていた。
もう来ないと思っていたらしい。

「どうした?なにか用か」

「いってきます」

「……あ?ああ、いってらっしゃい」

反射的にお祖父さんは口に出ていたらしく、自分で自分の言ったことに戸惑っている様子だった。
学生鞄を手にし、玄関に出る。
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