政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「壱都さんは井垣の財産が欲しくないの?こっちは朱加里に財産を渡すつもりはないのよ!白河家の人間なら、なんのメリットもない、なにも持っていない人間なんていらないでしょ!」
明け透けなものの言い方に周囲にいた人々が眉をひそめたことに気づきもしない。
「目に見えるものがすべてじゃない。朱加里は目に見えないものを持っている」
紗耶香さんの顔が醜く歪んだ。
「たとえ、井垣の財産が手に入らなくても俺は彼女を愛している」
「そう、わかったわ」
紗耶香さんはバッグに手を入れると、血走った目をして笑った。
「なら、朱加里に渡さないようにするだけよ」
銀色の刃が閃いたのを目の端で捉え、体を横にそらした。
そばで控えていた樫村が紗耶香さんの腕を絡めとり、体を床に叩きつける。
「壱都さん!お怪我は?」
「腕をかすっただけだ」
明け透けなものの言い方に周囲にいた人々が眉をひそめたことに気づきもしない。
「目に見えるものがすべてじゃない。朱加里は目に見えないものを持っている」
紗耶香さんの顔が醜く歪んだ。
「たとえ、井垣の財産が手に入らなくても俺は彼女を愛している」
「そう、わかったわ」
紗耶香さんはバッグに手を入れると、血走った目をして笑った。
「なら、朱加里に渡さないようにするだけよ」
銀色の刃が閃いたのを目の端で捉え、体を横にそらした。
そばで控えていた樫村が紗耶香さんの腕を絡めとり、体を床に叩きつける。
「壱都さん!お怪我は?」
「腕をかすっただけだ」