政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
俺の兄二人は揃いも揃って、遅刻してきたわけだ。
それもタイミングよく。
俺はにっこりと微笑んだ。
兄二人は俺を見つけると、近寄ってきた。

「壱都。パーティーの開始時間をわざと遅らせて伝えたな?」

「俺達を利用するなんてとんでもない奴だ。これだから、末っ子は要領がよくて嫌なんだよ」

「いやだな。誤解ですよ」

「一度、刺された方がお前のためだったかもな」

「お前、絶対にいい死に方はできないタイプだぞ」

目の前に怪我をした(かすり傷だが)弟がいるというのに労りの言葉もない兄達。
ナイフを持った紗耶香さんより、白河家の人間の方がよっぽど悪人なんだよなと、思って俺は満足げに微笑んだのだった。
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