政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「噂なんて気にしないで胸を張ってなさいな」

「そうそう。白河会長に比べたら、大した噂じゃないですよ」

比べる相手じゃないと思う……
白河会長もこの方々にかかれば、勝てそうにないなと思いながら、食後のコーヒーを口にした。
コーヒーをゆっくり飲み終えたところで会はお開きとなった。
タクシーを呼び、一人一人にお別れの挨拶を言っていると、誰かが『あらっ!』という驚きの声をあげた。
全員の視線は必然的に一ヵ所に集まった。
濃い化粧したけばけばしい女の人が鬼のような顔で立っている。
よく見ると芙由江さんだった。
なぜあんな化粧をしているのか、わからないけど人が違ったみたいで、目付きが怖い。

「みなさん、この娘に騙されないでください!私達から家も会社もなにもかも奪った恐ろしい娘ですよ!」

先生達は芙由江さんの言葉に眉をひそめた。

「娘の婚約者までたぶらかして!」

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