政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「ああ……そういえば、そうだったね。今週の日曜日にでも伺おう」

「え?壱都さん、お茶の先生がお会いしたいと言っているのを知っていたんですか?」

「用があって、連絡した時に言っていたんだよ。色々やることが多くて忙しかったから、つい後回しになってしまっていた」

「最近、残業も続いてますから、体に気を付けて下さいね」

「ああ」

にっこりと壱都さんは微笑んだ。
その笑みを見て、ふと父の事が頭をよぎった。

「あの、井垣の父はどうしているか、知っていますか?」

「知ってるよ。アルコール中毒で入院中らしいよ」

「アルコール中毒!?」

「ダメだって言ってもお酒が欲しいって聞かなかったそうだよ。町子さんが辞めただろう?新しい家政婦さんばかりで、断れなくて買い与えてしまったとか言ってたかな」

「そんなことになって……」

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