政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
約束を【壱都】
出張から帰ってきた俺が朱加里(あかり)から聞いたのはとんでもない話だった。

「白河家に行ってきた?一人で?」

「そうですよ」

最悪だと思った瞬間、すぐに頭の中で両親と兄達のスケジュールを思い浮かべる。
よし、いない。
だが、一人、一番問題な人間がいた。
―――祖父だ。

「嫌なことは言われなかったか?」

「いいえ。次は壱都さんと一緒にきますねって約束してきました」

「そうか……」

正直行きたくない。
そもそも、祖父に用事もなく、会いに行くという発想がまったくなかった。
呼ばれて渋々顔を出すのが関の山で、祖父と話したところで面白いことなどなに一つない。

「また会いに行ってもいいですか?」

正直、物好きなと朱加里に言いたかったが、祖父のことを『新しい家族』と思っている目を見たら、俺は口に出せなかった。

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