政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「本妻の娘は承知しているんですか?以前から、しつこく婚約者になって欲しいと言い寄られていたでしょう?」

「父親同士の口約束でしかない」

白河家も井垣家も実権を持っているのは祖父達だ。

「さようですか」

白河(しらかわ)財閥の直系である孫は俺を含めて三人。
長男の克麻(かつま)、次男の直将(なおまさ)、で、俺。
末っ子なのに壱都とはどういうことだよ、と思うが、両親は女の子を望んでいたらしい。
三人も男がいると、末っ子の扱いなんて雑なものだ。
気楽でいい部分もあるが、いろいろと損だ。
兄達より大学を卒業するのが遅れたせいで、スタートダッシュから出遅れているようなものだった。
それが、正直ずっと面白くなかった。

「生まれて初めて末っ子でよかったと思えたな」

「婚約者の方がそんなに気に入りましたか」

「そうだね。少なくとも相手が井垣というのも面白い」

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