政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
いくらドレスコードがあるとはいえ、そのド派手なブランドスーツは似合っていなかった。
「井垣の家に留学期間を問い合わせてきたって聞いて。私にお会いしたいんじゃないかと思ったの」
は?
俺が会いたい?
ぎろりと隣の樫村を睨んだが、樫村が悪いわけじゃない。
井垣の家で娘と言えば、紗耶香さんの方だと思われるのは当たり前だ。
朱加里はまるで使用人のように扱われていると聞いている。
今は仕方のないことなのだが―――
「どこに連れてってくださるの?」
なぜそうなる。
俺が紗耶香さんを好きだと一言でも言っただろうか。
だが、ここで冷たくあしらっておかしく思われても困る。
ここで印象を悪くすることは今後のマイナスになることをわかっていた。
―――まだ早い。
なにもかもが。
「いえ、仕事の都合でこちらに立ち寄りました」
「私の予定が知りたいって聞いてきたのに?」
「井垣の家に留学期間を問い合わせてきたって聞いて。私にお会いしたいんじゃないかと思ったの」
は?
俺が会いたい?
ぎろりと隣の樫村を睨んだが、樫村が悪いわけじゃない。
井垣の家で娘と言えば、紗耶香さんの方だと思われるのは当たり前だ。
朱加里はまるで使用人のように扱われていると聞いている。
今は仕方のないことなのだが―――
「どこに連れてってくださるの?」
なぜそうなる。
俺が紗耶香さんを好きだと一言でも言っただろうか。
だが、ここで冷たくあしらっておかしく思われても困る。
ここで印象を悪くすることは今後のマイナスになることをわかっていた。
―――まだ早い。
なにもかもが。
「いえ、仕事の都合でこちらに立ち寄りました」
「私の予定が知りたいって聞いてきたのに?」