政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
彼女を手に入れるためには苦労をして当たり前か。
井垣会長が大切にしている孫娘だ。
だから、俺は朱加里の背中を見送ってメールを送った。
『気が向いた時でいいので、メールをください』
そんなお願いをするのは初めてだった。
お願いは弱みになる。
そう思って生きてきた。
けれど、朱加里にならいいと思えた。
気にかけて欲しい俺を。
「壱都さん。どうしますか」
「いつものホテルに泊まる手配をしておいてくれ。ロンドン支店に顔を出したら、明日の便でパリ支店に戻る」
「はい。さすが仕事熱心な壱都さんですね」
樫村の言葉に俺は一人笑った。
樫村ですら、気づいていない。
俺が朱加里に振り回されていることも『メールが欲しい』なんて、彼女にお願いしていることも。
そんな俺を君以外、誰も知らない―――
井垣会長が大切にしている孫娘だ。
だから、俺は朱加里の背中を見送ってメールを送った。
『気が向いた時でいいので、メールをください』
そんなお願いをするのは初めてだった。
お願いは弱みになる。
そう思って生きてきた。
けれど、朱加里にならいいと思えた。
気にかけて欲しい俺を。
「壱都さん。どうしますか」
「いつものホテルに泊まる手配をしておいてくれ。ロンドン支店に顔を出したら、明日の便でパリ支店に戻る」
「はい。さすが仕事熱心な壱都さんですね」
樫村の言葉に俺は一人笑った。
樫村ですら、気づいていない。
俺が朱加里に振り回されていることも『メールが欲しい』なんて、彼女にお願いしていることも。
そんな俺を君以外、誰も知らない―――