政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
ホテルのドレスコードを私が気にしていたのを壱都さんは察していたのかもしれない。
服が何着も入っていた。
「こんな贅沢はできません」
「贅沢じゃない。君は少し贅沢に慣れた方がいい。いいものを見て、いいものを着て、それにふさわしい立ち振る舞いを覚える。この先、必要となることだ」
「必要に?」
「俺と結婚するんだからな」
冗談抜きで本当にですか?
そう私は尋ねたかった。
でも、その言葉はでなかった。
今となっては答えを聞くのが怖い。
私はこの人を好きになってしまった。
一緒に過ごす時間が心地よくて、少なくとも嫌いになんてなれなかった。
好きになってはいけないのに―――お祖父さんが亡くなった後、どうなるかわからない私達の婚約。
お互いの目を見つめあった。
それは静かな時間だった。
なにも言わず、どちらからともなく、唇を重ねた。
お互いの熱が唇から伝わるのだと、私が初めて知ったキスだった。
服が何着も入っていた。
「こんな贅沢はできません」
「贅沢じゃない。君は少し贅沢に慣れた方がいい。いいものを見て、いいものを着て、それにふさわしい立ち振る舞いを覚える。この先、必要となることだ」
「必要に?」
「俺と結婚するんだからな」
冗談抜きで本当にですか?
そう私は尋ねたかった。
でも、その言葉はでなかった。
今となっては答えを聞くのが怖い。
私はこの人を好きになってしまった。
一緒に過ごす時間が心地よくて、少なくとも嫌いになんてなれなかった。
好きになってはいけないのに―――お祖父さんが亡くなった後、どうなるかわからない私達の婚約。
お互いの目を見つめあった。
それは静かな時間だった。
なにも言わず、どちらからともなく、唇を重ねた。
お互いの熱が唇から伝わるのだと、私が初めて知ったキスだった。