ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
有能な秘書様が調節してくれたおかげで、桔平はなんとか休みをとることができた。
「今日もお出かけしたんですけど。
ドバイって、金曜日がお休みなんですね~。
あちこち開いてなかったです」
と言う真珠は、日々、ドバイを満喫しているようだ。
そのせいか。
「まだ私は必要ではないんですか?
あなたの妻に会いたいという人とはいつ会えるんですか?」
とも訊いて来なくなった。
真珠は、ドライバーやパイロット、観光案内をしてくれている六十代、七十代、八十代の人たちと親しくなり、家族ぐるみの付き合いまでしているようだった。
……俺とは家族らしく付き合ってないのにな、と桔平は思う。
真珠の部屋は一応、自分と同じホテルにとってあるのだが。
帰りが遅かったりすると、覗いても悪いかと思い、遠慮して会えなかったりして。
……絶対、俺より侑李の方が会ってるよな、と不安に思っていた。
なんだかんだで侑李はいい奴だ。
綺麗な顔してるし。
人当たりもいい。
俺が女でも侑李を選ぶかな、と思いながら、今日なにをしていたか、報告にしてくれる真珠の話を聞いていた。