ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
 小学生か、と思いながら、真珠は、
「そんなはずないじゃないですか~」
と訴える。

 まず、夫と恋に落ちれていないのに、他の人と落ちる余裕なんてありませんよ、と思う真珠を見つめ、桔平は言ってくる。

「ちゃんと今日もお前が好きだぞ」

「え?」

「言ったじゃないか。

 毎日、今日もお前のことが好きだし。
 明日もきっとお前が好きだろうって思ってるって。

 昨日も好きだったし、今日も好きだ。

 明日もきっと好きだろう」

「……天気予報ですか」

 ちょっと照れながらもそう言い、真珠は細長いグラスに口をつけた。

 ライムの香りが鼻に、つんと来る。

「……なんでそんなこと言ってくださるんですか?」

「ん?」

「なんで結婚式で一度会っただけの私に、そんな風に言ってくださるんですか?」

「言っただろう。
 式でお前に惚れたんだって。

 ……隠れてフグ食ってたからじゃないぞ」

 じゃあ、なんでなんですかね~? と思いながら、真珠は眠くなる。

 昼間、長くプールに浸かっていたせいかもしれない。
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