ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
「あっ。
 こらっ、なに寝そうになってるんだ。
 俺が愛を語ってるのにっ」

 幼児かっ、と言われる。

「しょうがないな。
 よし、ちょっと寝ろ」
と桔平が上着をかけてくれた。

 真珠がソファに寄り掛かるようにして目を閉じていると、桔平が呟くのが聞こえてきた。

「……今すぐ来いと言ったら、ほんとに来てくれたからな。

 ゆっくり旅を楽しめ、ご褒美だ」

 遠ざかる意識の中、真珠は思っていた。

 だって、言いましたもんね、あなたにあの日。

『困ったことがあったら呼んでください。

 いつでも何処でも、あなたが呼ぶのなら……』




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