ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
「僕の大切なお姫様。
幸せになるんだよ」
そう言って、父は私を育てた。
ところが会社が傾き、昔からの知り合いに金を借りようとした父は、
「そういえば、あんたの先祖、証文書いてそのまんまだよ」
と言われ、
『金が返せなかったら、なんでも欲しいものを差し上げます』
という酔った弾みで書いたんじゃないかというような無茶な証文に従って、娘を売り飛ばし。
自らは相手先の系列の銀行から多額の融資を受けた。
相手の顔を写真ですら見ないままの結婚式。
父は微笑み、娘に言った。
「おめでとう、真珠。
僕の大切なお姫様。
幸せになるんだよ」
……いや、なれるか~っ!