ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
「どうする?
俺の職場に来るか?」
ドバイフレームを過ぎた頃、ふいにそう問われ、え? と真珠は振り向いた。
「せっかく来たんだから、挨拶とかするか? 妻として」
と言われ、いえ、結構です、と断る。
桔平は前を見たまま、呟いた。
「そうか。
まあ、お前は第三の女だからな」
真珠は、はっ、と身構える。
この人、第一夫人とか、第二夫人とかいるのかっ、と思ったが。
この国にいても、桔平の国籍は日本だった。
「お前はラジオ体操第三みたいなものだから」
「……なんですか、それは」
「そんな奴いたのか、とか。
いるとは聞いてたけど、幻だと思ってたとか。
見てみたら、そんなもんかとか」
……最後のは余計じゃないですかね?
そして、ホンモノではない第四、第五も出回ってますよ……?