ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
「明日、私は必要ですか?
 もし、必要ないのなら、今から飛び立ち、モルディブで一泊してきます。

 何処かヴィラ、空いてますかね?」

 なんと落ち着きのない女だ、と桔平の顔には書いてあった。

「もちろん、あなたに呼ばれたときは、すぐに飛んでいきますよ。
 ……そう言ったじゃないですか」

 そう言うと、桔平は黙る。

「でも、せっかくこんな遠くまで来たんだから、空いている時間は有意義に使おうかなと」

 そう言い真珠は笑ってみせた。

 わかった……、と桔平は頷く。

「ちょっと待て。今から手配する。
 夜には俺も行こう」

 いや、来なくていいです。
 緊張するから、と真珠は思っていた。




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