ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
「私が飛行機飛ばしましたのに」
職場に戻った桔平に侑李がそう言ってきた。
「……いや。
なにか間違いが起こってはいけないからな」
俺の恥になるだろ。
俺も手をつけていないのに、と桔平は言う。
「羽島さん、腕はいいですけど、かなりのお年ですよ?」
奥様になにかあったらどうするんですか、と言われたが、いや、イケメンパイロットとなにかあるくらいなら死ね、と思っていた。
「羽島さんは信頼できるからな」
「私よりもですか?」
「ああ」
いろんな意味で……と思う桔平がなにを考えているのかわかっているかのように侑李は笑っていた。