ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
 


 夕刻の海を眺めながら、二人でヴィラに歩いて戻る。

 途中、熱帯植物に囲まれた小道があった。

「ここだけジャングルみたいじゃないですか。
 さっきひとりで通るとき思ってたんですよね~。

 その辺の大きな葉っぱの陰からライオンが、のそっと現れたらどうしようって」

 何故、ライオン……。

 当たり前だが、この島にライオンはいない。

「でも、今は有坂さんがいるからちょっと安心ですね」
と真珠は笑う。

 いや、俺がいたところでライオン倒せないが……と思ったときにはヴィラに着いていた。




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