ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
「だが、まあそうだな。
 結婚式で二、三時間一緒にいて、次がこのドバイ旅行だ」

 お前のせいでモルディブにまで行ってしまったが……、と付け加えながら桔平は言う。

「ちょっとお互いの話でもしてわかり合おうか」

 わかり合うのはいいのですが。
 とりあえず、私の上から退いてください

「お前は俺の妻だからな。
 訊けばなんでも教えてやるぞ。

 なにが知りたい?
 俺の生年月日か?」

 それは釣書にあるのでは。

「口座番号か?
 暗証番号か?
 出席番号か?」

 ……出席番号はいらないですかね。

 っていうか、いつの出席番号なんですか。

 何年生のですか、と思う真珠は気づいていなかったが、実は、桔平もテンパっていた。

 間近に自分をじっと見つめる真珠を見て、どうしていいかわからなくなっていたのだが。

 あまり表情に出ない男なので、真珠には伝わっていなかった。
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