ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
 二人はベッドの上で無言で見つめ合っていた。

 そもそも真珠はなにも考えていなかったので、()を上げたのは、桔平の方だった。

 桔平はベッドから降り、
「わかった。
 今日はサメも見ていることだし、許してやろう」
と言う。

 今、サメいませんよ、とアクリルガラスの方を見ながら真珠は思っていたが。

 いませんよと言ったら、いないので襲ってください、と言っている感じになってしまうので、黙った。

「俺は明日、朝早いから、お前、寝ててもいいぞ。
 昼、迎えに来る」
と言って出ていこうとする。

「一緒に帰りますよ。
 ヘリ、二度手間になりますし。

 ……あの」

 桔平がドアのところで振り返る。

「あの、スーク楽しみにしてますね」

 無理に時間を空けてもらったのだからと思い、礼を言うと、桔平は一瞬、すごく嬉しそうに笑いかけてやめた。

「いや、俺も久しぶりに行ってみたかったからな。
 ついでだ」

 じゃあ、と言って行ってしまう。
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