ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました



 スパイススークには小皿なんかもたくさんあって、青が強めの色の洪水のようだった。

 すごい色使いだ。
 日本では滅多にない感じだな。

 真珠はそのモザイクガラスランプみたいな色合いの小皿を何枚か、佳苗たちへのお土産に買った。

 というか、桔平が買ってくれた。

 そして、もちろん二人とも値切りそびれた。

 二人でぼんやり市場を歩く。

 この人と自分には共通点なんてないと思っていたけど。

 そういうところは似てるかもしれないな、と思う。

 なんだかんだで、ちょっとぼんやりしているところ、と思い真珠は微笑む。

 色とりどりの魔法のランプに見える水タバコや日用品が所狭しと置いてある場所を抜け、二人はすぐ近くにあるゴールドスークに行ってみた。

 さっきまで、雑多な色の洪水みたいだったのに、ここは、ほぼ単色。

 一面の金だ。

 目がチカチカしてきそうだった。

「なにか買ってやろうか」
と言われたが、金には特に興味がなかったので、そのまま、近くのパフュームスークに行く。
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