ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました



「夢の中なからなにをしてもいいのではないんですかね」

 真珠をホテルに送り、仕事に戻った桔平は侑李にそう言われた。

「……簡単に言うな、お前」

「ひとごとですから」
と笑う侑李に桔平は訊いてみた。

「お前、真珠をちょっとはいいと思ってるんじゃないのか」

「ちょっとって言うか。
 結構いいと思ってますけど?」

 ハッキリ言う侑李に、顔をしかめ、
「……いつからだ」
と訊いてみた。

「あなたが真珠様とお会いになる前からですよ。
 お嬢様育ちのはずなのに、堅実で、庶民的なところもあって、前向き。

 でも何処かこう、ふわふわっとしたところがあって、いいですよね。

 前向きなのも、ふわふわっとしてるのも、育ちがいいからというのもあるんでしょうが……。

 でも実は、私、育ちがいいことにより、性格がいい人間って。
 ずるいな~と思って、ちょっと嫌いなんですが」

 ……性格がいいか悪いかはともかく。

 何不自由なく育ってきた人間が嫌いなら、俺のことも嫌いだろう、と思い、睨んでやったが、侑李は何処まで本気なのか、ははは、と笑っていた。

 っていうか、お前自体が結構お坊ちゃん育ちだぞ、と思う。
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