ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
「でも、社長の……」
そこで侑李は一度目を伏せ、口調を変えて言った。
「お前がメロメロな女だから、手は出さないよ」
「……俺がいつ真珠にメロメロになった?」
「さあ? きっかけは知らないけど。
結婚式でしか会ってないんだから。
結婚式でなにかあったんじゃないか?
お前、彼女が付き合いで送ってくる年賀状とか、すごく大事にしてるじゃないか」
「……その辺の書店で買ったと思われる干支の動物をあしらっただけの年賀状だがな、毎年」
最近は写真入りのが多いんじゃないのか。
送ってこい、写真っ。
桔平は空港に真珠を迎えに行ったときのことを思い出していた。
大きなスーツケースの横に真珠が立っていた。
ようやく会えた妻に胸を高鳴らせたのも束の間、
「有坂桔平さんですか?」
と真珠は確かめるように自分に向かい、そう訊いてきた。
「ああよかった~っ。
すみません。
顔がわからなくてっ」
と言う真珠に向かい、
「そうか。
俺もお前がウエディングドレス着てないからわからなくてな」
と言い放った。
ドバイに向かう飛行機の中で撮ったポラロイドの写真を眺める。
こうしてると仲のいい夫婦に見え……
いや、真珠の頬が強張ってるけどな、と思いながら、それをしまうと、侑李が言ってくる。
そこで侑李は一度目を伏せ、口調を変えて言った。
「お前がメロメロな女だから、手は出さないよ」
「……俺がいつ真珠にメロメロになった?」
「さあ? きっかけは知らないけど。
結婚式でしか会ってないんだから。
結婚式でなにかあったんじゃないか?
お前、彼女が付き合いで送ってくる年賀状とか、すごく大事にしてるじゃないか」
「……その辺の書店で買ったと思われる干支の動物をあしらっただけの年賀状だがな、毎年」
最近は写真入りのが多いんじゃないのか。
送ってこい、写真っ。
桔平は空港に真珠を迎えに行ったときのことを思い出していた。
大きなスーツケースの横に真珠が立っていた。
ようやく会えた妻に胸を高鳴らせたのも束の間、
「有坂桔平さんですか?」
と真珠は確かめるように自分に向かい、そう訊いてきた。
「ああよかった~っ。
すみません。
顔がわからなくてっ」
と言う真珠に向かい、
「そうか。
俺もお前がウエディングドレス着てないからわからなくてな」
と言い放った。
ドバイに向かう飛行機の中で撮ったポラロイドの写真を眺める。
こうしてると仲のいい夫婦に見え……
いや、真珠の頬が強張ってるけどな、と思いながら、それをしまうと、侑李が言ってくる。