ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
「せっかく奥さん来てるんだから、二人でもうちょっと出かけろよ。

 この有能な秘書様がスケジュール調整してやったし……」

 そこで侑李は、にやりと笑って言った。

「あのこともしゃべってないから」

 桔平は感謝しながらも侑李を睨んで言う。

「有能なら、そういうセリフは口に出さずに、しまっとけ」

 侑李は笑いながら行ってしまった。

 なんだかんだでいい友人だ。

 桔平は振り返り、オフィスの窓から外を見る。

 真珠がSFの世界だと言った高層ビル群の明かりが間近に見えた。




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