天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「白蘭」
その声にドキリと心臓が跳ね足が止まる。
もしかしたら心の隅で会えるかもしれないと期待する自分がいたのかもしれない…でも会いたくなかった。
顔をあげ懐かしい彼を見た。
初めて会った時と変わらず端正な顔立ちで左目には仮面をし、私を見つめる表情は笑顔だ。
「白蘭…やっと来たのか」
いつもと変わらない口調で近づく紅蓮に白蘭は鋭く言った。
「近づかないで」
…何をするつもりなの?また私を殺す気?
警戒心をあらわにする白蘭に紅蓮は怪訝そうな顔をした。
「どうした?何か怒らせたか?」
「ふざけないで。もうあなたには二度と騙されない」
「騙す?何をだ?」