天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~

天帝の婚姻

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【天界】



白蘭が皇子宮に移ってから私は度々隠れて様子を見に行った。


天宮のこととは無縁の兎月といることで何のしがらみもなくなったからか白蘭は少しずつ笑うようになった。


その様子がとても微笑ましかった。


今は見られずとも、いつの日か私にも笑顔を向けてくれるだろうか。


今日も隠れて見守ろうと宮に行くとすすり泣く声が聞こえた。


…泣いているのか?


静かに宮に近づくと床に落ちている虹色の花びらを見つけ足を止めた。


虹彩樹の花…紅蓮に会ったのか?


中から兎月と白蘭の話し声が聞こえた。


「魔界の鳳凰に会ったのか?」

「ええ…兎月、心が痛いわ。なぜあの人は私をここまで傷つけるの…?」

「白蘭…」

「同時に気づいたの。あの人に来世で会ったら殺すと言ったけれど、今の私にはとても出来ないわ…騙されてもまだ私は紅蓮を愛しているんだもの…」

「馬鹿だな白蘭は…」


その言葉を聞き無意識に法術がもれ、手に持った虹彩の花を氷と化して砕いた。



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