天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


白蘭はしばらく黙って考えた。

そしてゆっくり頷き薄く笑った。


「そうね…。月影が望むのならば私も受け入れるわ」

「本当か?」

「ええ」

「ありがとう。近いうちに婚儀をあげよう。必ず幸せにすると誓う」


そうしてやっとの想いで月影は白蘭を手に入れた。

婚姻を承諾した白蘭は天后宮に戻り月影は毎日会いに行った。

共に食事をし茶を飲む日々は人間界の生活を思い出させた。

白蘭は相変わらず元気がなかったが、月影が会いに行くと薄く笑った。

自分にだけ見せてくれる笑顔。それがなによりも嬉しかった。


「白蘭、婚姻衣装は何色がいい?」

「そうね…何色がいいかしら?」

「赤はどうか?以前、人間界で赤色が好きだと言っていただろう?」

「…ううん。青にしましょう。あなたは青の方が似合うから」

「そうだな」


はじめて白蘭に選んでもらったのも青い衣だった。

月影は笑みを深めた。


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