天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~



天帝と天女の婚姻は天宮中に広まり、二人が並んで歩く姿を見た神や侍女達は口々にお似合いだ、安泰だと褒め称えた。


「そういえば兎月は?」

「兎月は天宮が嫌いなのだ。だからここには近づかない」

「そうなの…残念だわ」

「…婚姻が終わったら、私から兎月に天宮に来ないか聞いてみよう」

「そうしてちょうだい。兎月がいれば寂しくないもの」


そうは言ったものの、兎月を天宮に連れてくる気はない。

余計なことを言われては困るのだ。


「月影…ひとつ婚姻の前にお願いがあるの」

「なんだ?」

「先の天女と鬼神の記憶を見たいの。…実の両親でありながら顔も知らないから」

「…」


だが、あの光景は二人が死ぬところが映る。

どうしようか迷う月影。


「お願い」

「…わかった」



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