天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
白蘭を記憶水晶の間に連れて行く。
そして原石のくぼみに以前と同様に白蘭の白い羽がついた髪飾りを浸した。
すぐに記憶が映し出されそれを白蘭は覗いた。
月影が見守る中、すべてを知った白蘭が顔をあげた。
「平気か?」
「ええ」
白蘭は冷静だった。
「月影。魔界との戦が近いって言ってたわよね?」
「あ、ああ」
「私も行くわ」
「っ!白蘭、何を?」
「魔帝は天女の母上を殺し、鬼神の父上と八咫烏一族を殺した。誰かに託すことは出来ないの。私が魔帝を殺さないといけないの」
白蘭は冷静だ。しかしその瞳は怒りで満ちている。
たしかに、家族を殺されたのだ。
月影もかつて同じ立場だった、その気持ちはよくわかる。
「そうだな。許可しよう」