天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「屈しなくてもいいわ。どうせここから出られないんだから」
「くっ」
悔しそうに唇を噛む朱雀。
「たとえ白蘭が生きていたとしても人間だもの…。百年もすれば寿命で死ぬ。そしたら紅蓮は今度こそ私に目を向けるはず」
「…」
「だって私は紅蓮の正室だもの。もう魔后はいない。私が次の魔后よ」
恍惚とした笑みで玲心は夢を語った。
しかしそれは朱雀によって覆される。
「本当に救いようがないな」
「なんですって?」
「白蘭が寿命で死ぬはずがないだろう?」
「あなた…ついに水に浸りすぎて頭でもおかしくなったの?」
ふっと朱雀が笑う。