天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
朱華と呼ばれた侍女は震えながら部屋に入るとひれ伏した。
「皇太子殿下にご挨拶を」
「よい。顔をあげよ」
おずおずと顔をあげる朱華。
「正直に答えよ。朱雀とは何の話を?」
「…」
怯えたように朱華は震え雪梨を助けを求めるように見た。
「朱華。正直に言うのです。殿下は無辜の者を殺したりはしません。大丈夫よ」
安心させるように雪梨が言うと少しずつ朱華は話をした。
「明明の話を…」
「明明?」
「あとは玲心様と白蘭様の話…あとは香の話です」
「香?」
突然、香の話だと?なぜそんな話題になる。