天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


香が到着し、一つ一つ確かめる。

特に不審な点はない…そう思った時、どこかで嗅いだことのある匂いがした。


「これは…」

「紅蓮様、何かわかったのですか?」

「ああ…」


これは白蘭の後宮で炊かれていた香だ。

消そうとすると白蘭は拒否し、玲心から貰ったと言った。


…玲心。まさか、白蘭の死に玲心が関わっているのか?


「香林、先ほど何か言いかけたな?なんだ?」

「その…」


言いづらそうにするので香林と雪梨だけを残して下がらせる。


「その…朱雀様を探すために深夜何度か捜索にあたることもあったのですが、そこで玲心様の宮に行った時すごい悲鳴が聞こえて…」

「悲鳴?」


コクリと頷き香林が続ける。


「何事かと思い向かうと玲心が部屋から出てきて炎狐族の双子だけ連れて、どこかに行くのです。それが深夜に何度かありました。」


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