天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
たしかに不審だ。
玲心は私が認めていないとはいえ正室の座についている。
異動するときは必ず数人の侍女を連れ歩く、まして深夜の外出に女子二人だけを連れていくとは…。
何かよからぬことをしている証拠だ。
「確かめる必要があるな…」
それも早急に。
「二人とも協力してくれ」
その日の晩、紅蓮は早速行動に移した。
香林には皇太子宮で不測の事態に備えてもらい、玲心が寝静まった後、雪梨によって宮の侍女を下がらせる。
紅蓮は遠く離れたところで朱雀軍と共に宮を見張った。
「いやあっ!」
香林が言った通りに玲心の部屋から悲鳴があがり、まるでわかっていたかのように待機していた炎狐族の双子が部屋に入り明かりをつけた。
しばらくすると部屋から出てきた玲心がどこかへ向かう。