天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「白蘭は何も知らないのです。誤解を解く前に月影と争ってはいけません」
「…くそっ!」
朱雀の言う通りだ。
静かに紅蓮は剣を消した。
「何よっ!殺しなさいよ!どっちにしろ死ぬんだから!!」
死ぬ覚悟をし今まで黙っていた玲心が叫ぶ。
「白蘭ってなんて馬鹿なの!?死ぬ直前まで紅蓮の姿をした私に愛を求めていたわ。だから愛していないって身の程知らずって言ってやったわ」
殺させるためにわざと煽っているのがわかる。
その声に紅蓮は黙って耐える。
「翼を斬った時は悲鳴をあげ泣き叫んでいたわ。無様だった。私が杭を何本打ったと思う?白い翼が赤黒くなっていたわ。最高に愉快だった」
「黙れ!!!」
「っ!!」
我慢はしていたが聞いていられなかった。
紅蓮は玲心の顔を思い切り殴った。
「「玲心様!」」
炎狐族の双子が心配そうに名前を呼ぶも玲心は紅蓮の一撃で気を失っていた。