天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~



「連れていけ!」


命じると兵が牢へ連れて行った。

残された紅蓮は片手で顔を覆う。

そんな主を朱雀が見守った。


「すべての謎が解けた」

「紅蓮様…」


何もかも玲心の仕業だ。

白蘭を殺し母を殺し月影と血の盟約まで交わすとは…。


『「あなたの愛は偽りよ」』


虹彩樹の庭で白蘭が言った意味がやっとわかった。

だが、この想いは偽りではない。

本当に愛しているのだ。


「…白蘭は信じてくれるだろうか」


『「…信じられない」』


庭では聞く耳持たずだった。とても信じてもらえそうにない。


「一緒に対策を考えましょう。大丈夫です。この朱雀がついています」


心強い従者が紅蓮の肩をたたき励ました。そして紅蓮は「そうだな」と答え笑った。


この時、魔界の者は何も知らなかった。

すぐそこに天界の兵が迫っていることに。

戦が起ころうとしているのに気づかなかったのだ。


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