天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
寝台に横になると月が見えた。
この光景も久しぶりだな…。
以前は新月の時に紅蓮と酒を飲み人間界では白蘭と兎月と月をよく眺めた…。
ふと過去のことを思った月影は我に返る。
それらは全て過去。もう過去には戻れない。変わってしまったのだ。
明日になれば最愛の人が手に入る。
月影はそれだけを胸に静かに目を閉じた。
次の日、人の気配がし起き上がる。
さすが天帝だ。天界のどこにいても侍女達は世話をするために現れる。
「入れ」
入室を許可すると侍女がぞろぞろと入ってきて礼をした。
「天帝陛下にご挨拶を」
「ああ」