天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「どこに行くのか知らないけれど…私からこれ以上逃げるのは許さない」
氷柱術を用いて氷の弓を作り出し、矢をつがえ鳳凰を打ち据える。
矢は見事に魔帝に当たり鳳凰は円を描いて落ちて行った。それを白蘭も追う。
魔帝が落ちたのは一つの宮だった。
…ここは…
そこはかつて八咫烏一族が残虐された宮だった。
これも偶然か必然か。
魔帝は鳳凰の姿から人の姿になると肩に刺さった氷の矢を抜いた。
「…お前か」
「…覚えておいでですか私を」
「ああ」
「あなたがここで私の父と兄と…明明を殺したのよ」