天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
残り少ない力で水系術を使い、なんとか前に進む。
足元に何かがあたり見ると氷の剣だった。
魔帝を殺した月影の剣だ。
…二人の近くまで来たんだ。
もう一度、水系術を使うとゆっくりと姿が見えた。
月影は床に膝をつき紅蓮をにらみつけ、紅蓮が両の手に黒い炎を宿し見下ろしていた。
その光景を見た瞬間、白蘭の鼓動は早くなった。
ドクンドクンと心臓が脈打つのがわかる。
「黒鳳炎…」
鬼神の父上を殺した炎だ。
ドクンッ
私を殺し玲心を殺した紅蓮がそれを持っている。
ドクンッ
今度は誰を殺す気なの…今度は…月影を殺すの?