天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~



残り少ない力で水系術を使い、なんとか前に進む。


足元に何かがあたり見ると氷の剣だった。


魔帝を殺した月影の剣だ。


…二人の近くまで来たんだ。


もう一度、水系術を使うとゆっくりと姿が見えた。


月影は床に膝をつき紅蓮をにらみつけ、紅蓮が両の手に黒い炎を宿し見下ろしていた。


その光景を見た瞬間、白蘭の鼓動は早くなった。


ドクンドクンと心臓が脈打つのがわかる。


「黒鳳炎…」


鬼神の父上を殺した炎だ。


ドクンッ


私を殺し玲心を殺した紅蓮がそれを持っている。


ドクンッ


今度は誰を殺す気なの…今度は…月影を殺すの?


< 161 / 258 >

この作品をシェア

pagetop