天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
全てがスローモーションかのように思えた。
考えるよりも早く身体が動いた。
白蘭は床に落ちていた氷の剣を手に取る。気づいたときには紅蓮の体に突き刺していた。
「…白蘭」
紅蓮は目を見開き、手にあった黒鳳炎は徐々に消えていった。
「なぜだ…?白蘭」
「あなたが私の大事な人を殺そうとするからよ」
紅蓮が涙を流し、それに続いて白蘭の目からも自然と涙がこぼれ落ちていった。
「私は、そなたを本当に愛しているのに…」
「…っ」
剣を思い切り抜くと紅蓮は大量の血と共に床に崩れ落ちた。
「紅蓮様!」
駆け付けてきたのは朱雀だ。
「紅蓮様!しっかりしてください!目を開けて」