天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
紅蓮は何も答えない。
「白蘭!なぜだ!なぜ紅蓮様を!」
こちらを朱雀が泣きながら睨み白蘭はカシャンと剣を落とした。
…私が紅蓮を殺した。
私が。私が殺したの。
紅蓮の血が床に広がり、顔が青ざめる。
「紅蓮…?」
震える声で久しぶりにその名を呼んだ。
以前はすぐに返事をし私に笑いかけてくれた。
今はそれもない。目も開かない。
…愛する人を殺してしまった。
その嘆きと悲しみは果てしなく、その過ちに気づいたときには白蘭の羽は黒く染まった。
「っ…」
翼の痛みと共に血を吐き紅蓮同様に床に倒れこむ。
それを寸前のところで月影が受け止めた。