天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~



「紅蓮様!」


宮につくと紅蓮は寝床に横になり青い顔をしている。それを横で薬師神が診ていた。


…香林が言っていたことは本当だった。


魔帝が死に紅蓮は負傷し目覚めないと。


目の前が暗くなり倒れそうになるのを何とか抑え、しっかりしろと雪梨は自分を奮い立たせた。


「侍女長様」

「朱雀」


魔宮の状況を確認してきた朱雀が戻ってきて雪梨に気づき声をかける。


「紅蓮様は…どういう状況なのです?」

「それが…白蘭が紅蓮様の心臓を刺したのです。今は魔帝の力と鳳凰の力で何とか保っている状況です…」

「なぜ白蘭が…?」


朱雀は雪梨に忘却湖のことなど全てを話した。


乳母として紅蓮様を育て、白蘭は実の娘のように可愛がった。


そんな二人が争い殺しあうなんて…。


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