天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
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【天界】


「白蘭、何度も言ったが自分を労わってくれ」


戦場から天界に戻った白蘭はすぐに意識を取り戻した。


薬師神に診てもらうも羽が半分黒くなった以外は、特に体調に問題はなかった。


月影に寝床につかされるのを白蘭はやんわりと止めた。


「天界に来てから寝てばかりよ…問題ないのだし起きていたいわ」

「しかし…」

「それより月影の方が心配だわ」


薬師神に傷は癒してもらっただろうが、酷い傷だった。いまだ白い鎧を着ていて、休んでいない。


「私は大丈夫だ」


月影は心配してもらえたのが嬉しいのか白蘭の手を取り笑った。


まるで先ほどまで戦場にいたのを忘れてしまう程に穏やかだった。


しかし、月影の血の付いた白い鎧と白蘭の黒く染まった羽がすぐに現実に引き戻す。



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