天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
愛する紅蓮を殺した。そのおかげで月影は生きている。
心が痛む。でも殺したのは他でもない私。
悲しむ資格はないのだ。
「私の事を守ってくれたのは嬉しかった。だが、二度とあのような危険は犯さないでくれ…」
「ええ」
「白蘭。婚儀を行おう。戦は終わった。もう何も心配することはない」
「そうね」
この断ち切れない想いも婚姻し、時間が経てば癒されるはず。
白蘭も月影の意見に同意した。
「月影、私は大丈夫だから着替えて休んで」
「…わかった」
やっと月影が行き私も寝床からでると黒い衣を脱ぎ着替えた。
侍女に戦の状況の確認をすると天界の負傷者は予想より多いそうだ。白豹族で戦神である一心は命を落とし、息子の気鋭が次期戦神だそうだ。