天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
戦とは何なのだろうか…。
なぜ争うのか…。
争うことで私は何か得ただろうか?失ったものの方が多かったのではないだろうか?
確かに仇は打てた。紅蓮も殺した。
でも、この果てしない虚無感…。これを得るために私は魔界を傷つけたのだろうか。
「白蘭様?」
侍女に言われハッとする。
「少し外を歩くわ」
私はもうじき天后になりこの天界を支えることになる。
…しっかりしなくては。
天宮を歩くとすれ違う神々が私に挨拶し、翼が黒くなっているのを見て嘆いた。
…面倒ね。この翼を見るだけで皆、この世の終わりみたいな顔で見てくるわ。
そこで白蘭は人のいない皇子宮に向かった。
兎月はいるかしら…。
「兎月?」