天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


「ねえ、氷輪は?」

「投獄されている」


それを聞いた白蘭はすぐに立ち上がった。


「どこに行く!白蘭!」

「氷輪を助けにいく」

「駄目だっ。氷輪様は天后の子。大罪人の子なのだ」

「でも氷輪は何もしていないじゃないっ」


止めに入る侍女や兎月を振り切り白蘭は牢へ向かった。


「白蘭様!ここへ来てはなりません」

「どきなさい!私は天女。天女を阻むことは天に背くことと同罪です」


止める衛兵を半ば強引に中に入る。


「氷輪!」

「…うっ」


うめき声がして牢に駆け寄った。

そこにいたのはボロボロの氷輪だった。杖刑を受け背中は肉が削げ爛れている。

すぐに牢を簪で開けると氷輪に白蘭は抱き着いた。


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