天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「…氷輪っ」
「…白蘭?白蘭なのか?」
「私よ。遅くなってごめんね…ごめんね氷輪」
どれだけ痛めつけられたのか以前の笑顔はない。
一人で立つのが難しい氷輪に肩を貸しながら牢を出る。
「っ…」
「宮についたらすぐに蘇生術をかけるからしばらく我慢して」
しかし皇子宮につく前に知らせを受けた月影が立ちはだかった。
「白蘭。氷輪を放してこちらに来るんだ」
「…嫌よ…月影説明して頂戴。あなたがこんな酷い事するはずないわよね?きっと何か訳があるのよね?」
「氷輪は罪人の子だ。天后が斬首になったことを私のせいだと思っている。放てば私を狙い殺すだろう」
「そんなこと…私がさせないわ。氷輪を止めて見せる」
「…」
「お願い。氷輪を放してあげて。氷輪は何もしていないわ」
しばらく無言だった月影が「好きにするといい」と一言いって去っていった。
…やっぱりわかってもらえた。
それから氷輪を皇子宮に連れて行き兎月と二人で手当てをした。