天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
どこにいても自由なはずなのに何かを求め虹彩樹の庭に結局来てしまうのだ。
まあ、いい。
ここは自由だ。虹彩樹の庭で酒でも飲もう。
そう思っただけで酒瓶が手元に出てくる。紅蓮は笑い酒を一口飲む。
「ったく。酷い酒だな…せっかくなら酒神の酒を出してくれよ」
人間界の酒はここまで酷くなかったぞ。そういえば、今度木蓮に酒をもっていく約束だった。
いつも世話になっているからな。
そこで、ふと何故世話になったのか疑問に思った。
私は木蓮と面識が少ないはずなのに何故、酒をもっていくことに?誰と約束をしたんだ?
疑問に思いながらもう一口酒を飲んだ。
そういえば酔って私のことを魔界の烏妖怪などと言った奴がいたな。
「ふっ…」
思い出し笑みが漏れる。